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【諸星】「肉色の誕生」とゼピッタシリーズ感想 

まんだらけで諸星大二郎の漫画を買ってきました。『海竜祭の夜』『天崩れ落つる日』です。どちらもそれぞれ文庫版の『妖怪ハンター』地の巻と天の巻、『諸星大二郎ナンセンスギャグ短編集珍・妙の巻』に大部分の話が収録されているのですが、「肉色の誕生」とゼピッタシリーズが読みたかったのです。
毎回買う度に思うのですが、やはり諸星大二郎の漫画はどれもハズレがなく面白い!
自選短編集は特に優れた話ばかり収録されていて、これ2冊持てば諸星漫画の醍醐味を味わえるのですが、諸星大二郎にハマる人はコンプリートしないと気がすまなくなるのでしょう。
しかしあまりにも濃すぎるので一気には読みたくないです。ハマってから3年とまだまだ浅いのですが、ちまちまと集めてます。

(古い版だと入手が難しいというのも理由の一つである)

海竜祭の夜 妖怪ハンター (Jump super ace)海竜祭の夜 妖怪ハンター (Jump super ace)
(1988/07/08)
諸星 大二郎

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天崩れ落つる日 (ジャンプスーパーコミックス)天崩れ落つる日 (ジャンプスーパーコミックス)
(1997/02/04)
諸星 大二郎

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それとモロ☆漫画を集めていて、「古い版の方が個人的に好みだなぁ」と常々思っていたのですが、その理由が判明しました。
ベタ部分の印刷です。文庫版や光文社のSIGNAL叢書版だと、紙質が良すぎてベタ部分がテカっちゃうんですね。なので薄く見えてしまう。
古い版だと光沢が少なくマットな仕上がりに印刷されているのです。こちらの方が、諸星大二郎の持ち味である「闇!」って感じがよく出ます。

近々文藝別冊で諸星大二郎特集が出るそうで楽しみです。発売日が2日延期されましたが。

諸星大二郎 異界と俗世の狭間から(文藝別冊)諸星大二郎 異界と俗世の狭間から(文藝別冊)
(2011/11/17)
不明

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以下「肉色の誕生」とゼピッタシリーズの感想。ストーリーやオチのネタバレも含みます。

++++++++++++++++++++++++++++++++

・『海竜祭の夜』
海竜祭の夜/ヒトニグサ/黒い探求者/赤い唇/生命の木/幻の木/花咲爺論序説/闇の中の仮面の顔/肉色の誕生

肉色の誕生…語り手の友人の男は錬金術師・パラケルススに傾倒し、男女のホムンクルスを造り出す。
「偉大で神々しい神のような女」という発言は、ゲーテのファウストでファウストを虜にしたヘレネーが元ネタだろうか。人間より美しい精霊の胎児たる女のホムンクルスがたまらんです。
体は未完成で臓物が露出した肉塊に巨大な女の顔がついているという異形の姿なのですが、そこがいい。
「アダムの肋骨」のハーピーといい、栞と紙魚子シリーズのクトルーちゃんの母といい巨大な顔を持つ女がしょっちゅう出てくるなぁ。そしてでかい女。諸星大二郎の描く女性は太母(原初の母としての女も悪女もあり)のような存在が多い。溶ける女…これも多い。暗黒神話の弟橘姫もそうだった。本来ある形がとろとろに溶けたりあるいは異なるものがくっつきあったりするタイプの異形。
そこもたまらんです。

肉色の誕生

対して、子どもながらに老人のような姿の六郎。彼は何を思って精霊の女のフラスコを壊したんだろう。
造物主への反抗として、彼が造る女を壊してしまいたかったのか。それとも女に惚れていれ造物主の一人占めにはさせまいと解放しようとしたのか。

造物主の男は精霊を生かそうとして自分の血を与えて絶命するのですが、まさに崇拝。でも結局精霊は溶けてしまうんですね。
残ったのが「肉色の汚いしみ」とか、かなりピリッとした結末でいいな~

ところで他作品は妖怪ハンターシリーズでこの作品だけ毛色が違うのですが、間にある男から稗田礼二郎宛に自分が見た不思議な話として届いた手紙として稗田が紹介するという体裁になってます。
諸星先生本人の後がきでは本全体の体裁を考えてのこと。本全体のバランスを考える人だな~と思います。

収録内容のバランスという点では、文庫版が「地」「天」「水」とテーマ別になっており、天の巻では生命の木をめぐる「天孫降臨」シリーズを完全網羅しており『海竜祭の夜』では不満足な出来として外された「死人帰り」も地の巻で収録されているという点では、文庫版の方が良い気がします。

そういえば新書版の『アダムの肋骨』にも収録されていて、こちらの方がテーマ的にしっくりくるんですね。

妖怪ハンターシリーズは既読のため割愛。しかしA5版の方が文庫版より迫力がありますね~あんとく様!「生命の木」、「いんへるの」の底で蠢く「はなれ」の住人のコマと昇天のコマは圧巻です。
文庫版の「なんですこの人たち…知的障害者なんじゃないですか?」がこっちでは「なんです こいつらまるで痴呆のようだ」になっていて噴きました。歯に衣着きせねえ。(フォローしますと、はなれの人々は、あだんの一族と異なり知恵の木実でなく生命の木の実を食べたじゅすへるの一族であり、不死であるが知能が低いという設定です)

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◆天崩れ落つる日
PART1ゼピッタの気ままな旅 天崩れ落つる日/コンプレックス・シティ/広告の町/わたしは快になりたい
PART2 怒々山博士の学問への情熱 ど次元物語/逆立ち猿人/怪談 竜の足跡/陽はまた昇る
PART3 シマ男とその他の風変わりな人たち シマ男の逆襲/コルク栓のある死体/郵便ポストはなぜ赤い/シマ男の復活/辛口怪談/毒を食らわば/奇妙なレストラン/真夜中の会合・客船セント・ピーター号上の昼食会/4コマごっこ/アリゲーター

ナンセンスギャグ色強めな単行本なのでゼピッタシリーズもナンセンスギャグだと思っていたらブラックでSF色が強めな話でした。
「マンハッタンの黒船」に近…い?
とにかくゼピッタシリーズが面白い!特に「コンプレックス・シティ」は自選短編集に収録されなかったのが不思議なレベルでした。
主人公のゼピッタは、ハートのペンダントに長袖Tシャツにジーンズと、ジーンズの脚ラインが色っぽい。そして旅をしながらふらふらと様々な町に寄るのですが、旅するその先々で男とヤッてます。4話全て。道端で用を足し半ケツのまま車を拾ったりもしとります。

【天崩れ落つる日】
崖から落ちる寸前の巨大な石のちょうど真下にある街、その街では「石おっこちない教」がさかんだった。
教祖が宝器と偽る磁場発生装置のコントロールに使う小型マシンで教祖の頭をはたき、それを持ったまま脱出してしまったゼピッタ、当然その結末は…

肩をすくめ舌を出すゼピッタさんの顔がいいです。

【コンプレックス・シティ】
左右でロボットと人間に分かれて争う街。人間側の切り札はAKBMがあるらしいが…
ロボットは人間に対抗し、こんぷれっくす回路を組み込まれ、人間くさい思考や言動を見せるの。それこそ五感に好奇心、笑いのセンス、そして人間に対する劣等感・対抗心。まさに「○○コンプレックス」なのがうまい。
人類に続く存在として進化したのがロボットであり、しかも人類より更にはるかに短期で進化を成し遂げたからロボットこそ万物の霊長と主張するくだりには説得力を感じました。
マザーコンピューターを略してマザコンと呼んだり、それが壊れて乱戦になった時ロボットの大半がマザー・コンプレックス回路を持っていたので戦闘不能になってしまうなど、ナンセンスギャグ短編に通じるギャグもあって笑ってしまいました。AKBM=アカンベエマシンて…
街の入口にありサイボーグといいながら人間とロボットどちらにもつかないカフェ「細胞愚」のマスターこそ、ロボット的なロボットですね。

【広告の町】
広告の立て看板が並び、その下にバラックのように小屋を立てて生計を建てているだけの人々の街。
広告が自分の漫画ネタだったりパロディだったりでニヤニヤ。
広告委託料を受け取って生活し、看板が立たないと家を建てられないらしくデモ発生。???大量消費を要求し衣食住の情報にすぎなかった広告が真に人々の生活に溶け込み衣食住そのものに…
結局市も会社も倒産してコンピュータが自爆、街は家ごと広告が倒される…ゼピッタが発案した、丸星商事にとっても住民にとっても一挙両得なアイデアのオチがいいです。うさんくさいとは思われないかしら?

【わたしは快になりたい】
労働局に設置されているスーパー・オルガスムスマシーンにより、仕事をすることで性的快感を感じるようになっている街。
つまり働くこと=オ○ニーorS○Xと。冒頭でも事故ってた通り、それかなり危険だ…!
性的快感を無駄にしない上労働意欲を高めると主張するのがすごい。
これなら確かに勤労になるかもしれない…(思考力ダウンするでしょうが)
こういう街なので皆きりきり働きすぎて、ものをつくりすぎて供給が圧倒的に多く、財政赤字というありさま。
マシンがショートして最大級の快感に襲われた時の住民の顔がヤバいwww
わたしは快になりたい

ラストでセックス講座するゼピッタさん、結局ろくでもない結果のみ残してます。

他作品も面白いのですが、別の機会で語りたいので割愛。


いやーやっぱりモロ☆漫画はほんとどれもこれも面白い。

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