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【青祓】加藤和恵短編集TIME KILLERS感想 

加藤和恵短編集を買いました。感想をば。

TIME KILLERS 加藤和恵短編集 (加藤和恵短編集)TIME KILLERS 加藤和恵短編集 (加藤和恵短編集)
(2011/10/04)
加藤 和恵

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全体的な感想を述べると、「初期の絵柄が男性漫画家みたいだ!!」「アクリルガッシュ絵綺麗すぎYABEEEE」「ホシオタの頃から雰囲気が変わったなぁ」「思ってた程エグくはないかも」「でも傷害シーンとかエグっ」でした。
あと青の祓魔師に出てくるおっさんおばさんは基本的に「いい大人」ばかり(藤堂先生は例外だけどいい人そうな悪役なので。人型では今の所ビジュアルで嫌悪感を催すようなキャラデザの悪役はあまりいない)なので、ロボうさとか読み切りとか、いかにも悪役で、ザコっぽい雰囲気を持つ大人キャラも出てくるのは結構目につくなと。やっぱり青の祓魔師で結構作風を変えてるかも、と思いました。

とにかく、カラーに関する画力の高さに感嘆してしまいます。ページ数の割に厚さは普通の単行本並かも、と思ったら良い紙を使ってるので結構重い。そしてカラー全再現。これは少年漫画単行本サイズよりひとまわり大きい青年漫画単行本サイズで読みたいわ。
それと買う前で読んだことがあるのは深山鶯邸事件」だけだと思っていて全く気付かなかったのですが、季刊S作品のいくつかに「あ、これ見覚えがあるよーな」というのがいくつか。姉とメールしたら、古本屋で田辺イエロウと林田球インタ掲載号を見つけて買ったらそれに加藤和恵作品が載ってた、当時は気づかなかったという返事が返ってきました。私もインタ目当てで、当時書店に置かれた時のその号の季刊Sを読んでたけど気づかなかったです。
季刊S、読んでる漫画家のインタビューが載ってる時とかちらほら読んでるので見かけたことはあるかも。全く覚えてないけど、加藤和恵インタ掲載号も一応読んだので季刊Sと縁が深い作家ということで投稿作品を再掲していたとか?
うろおぼえなのではっきりしないけれど。

集英社だけでなく季刊S作品も掲載していることもあって全然ジャンプっぽくない短編集でした。
加藤先生自身、ホシオタ以前までは好き勝手に描いていたのが、ホシオタ以降読み手にウケる話を練ることに重点を置くようになったとの主旨のことをおっしゃっているので、そうした試行錯誤の過程を楽しむ短編集な気がします。ショートも多いし1話1話の話の面白さを味わう短編集とはまた違うかも。
深山鶯以前はテーマや状況設定の関係性がつながりきってない印象を受けます。
絵重視の雰囲気漫画っぽい作風も大好物なんですが。

それを考えると、青の祓魔師1話とかを読んで「ベタでちょっとぎこちないところがあるなぁ」と思った理由がちょっとわかる気がします。話や読者を意識しすぎた部分があったかなと。最近はそういう違和感みたいなものをあまり感じなくなってきたので、こなれてきたのかなと思いました。


以下、作品ごとの感想を。殆どネタバレなので未読の方注意。
冒頭に画像もあります。

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この絵柄の変化がすごい。
katoukazue.png

美麗!
111005_0023~01

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◆僕と兎(2000)
銭湯づとめ兼殺し屋の藤堂朱里と医者志望の弐村平の2人の学生の友情話。弐村の父親を殺してくれという依頼が出、そのまま赴く藤堂だったが弐村に撃たれてしまう。しかし弐村は「僕は…医者になるんだから どんな奴の命も救うんだ」と言い、助ける。

「僕と兎」、初期作品の絵柄が男性漫画家みたいだ・・・!
今と昔の絵で主人公の顔ちげぇぇ
今の絵だと雪男っぽいのですが当時の絵は雪男とは似ても似つかぬ、男むさい男児って感じ。こういう絵柄の変化は田辺イエロウと短編集「フェイク」に通じるものがある気があるような。目次で「今の絵で昔のキャラたちを描いてみる」をやってるのですがその雰囲気も田辺っぽい。
しかも当時19歳、デビュー作。19歳でコレは作者も言う通り渋すぎる。あとコマ割りちっさ!ロボうさは大ゴマ多目だったからギャップがすんごいです。
主人公の名前が藤堂!青の祓魔師で現在大活躍中のおっさんも藤堂という名字です。タイトルには兎が入っているのですが、兎と言っても藤堂が殺し屋稼業する時にかぶるヘルメットが兎であること、父親にうさぎのハサミをもらったことくらい。僕って弐村?

そうそう、この作品は「主人公がはさみで父親を刺し殺した」ときいていたので全然違う話を想像していました。兎を飼っていた少年に暴力を奮う父親に、少年は父を殺す…みたいな(それ少年誌でやっていいのか)。それでも父親が殺人犯で、少年も父を殺して殺し屋になるとかさらっとすごい設定だ。
殺し屋というとどうしても中二病っぽさがつきまとうと思うのですが、絵柄が男むさいのと登場人物が「普通」の人間に見えるのと、ジャージ・銭湯・汚い部屋…と、そういう意味でリアルなアイテムが多いのもあってあまり中二病っぽさは感じないかも。
人を殺す人と生かす人の対比、後者は赦しの心がある分強い。

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◆赤茄子(2001)
うさぎ人間がいて狛犬が馬のポジションにいるような和風ファンタジー。ロボポジションでちょっと頭が足りなく純粋でドジな青年双村祭助と、うさ吉ほぼそのまんまの宇佐うさ吉が用心棒。赤い毛並みを持つ兎族赤塵最後の生き残りであり、一族の形見として巨大なとまと畑を守る丘ノ杏に依頼される。祭助のドジで半分失われるも、撃退。

今までずっと「あかなす」と読んでたのですが「とまと」って読むのかー
加藤先生が言うようにヒロインがうさぎ人間しかも太めな肝っ玉おばちゃんというのが斬新すぎる!!しかしその過去は、毛皮目当てに種族を根絶やしにされとまと畑も燃やされ、自分が持っていたたった1個のとまとから再び一人でとまと畑を作り上げる、と重い。「たった一個の赤茄子から始まった アタシの家族(すべて)だ」とか。
でもテーマ的にはもっと掘り下げられてたかも?
前に進めっても自分の相棒の失態で半分失われてるし; それでも許してやるのが寛大だ。

月刊用心棒なる雑誌が存在するのかよwww 
杏の涙をふくためによこした布がフンドシとか色々ひどいwww

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◆赤い大地に生まれた戦士のはなし(2003)
台詞なし、ナレーションのみで進行するインディアンの男と女の短い漫画。バッドエンド。

これオールカラー漫画ということでフルカラー掲載されるかも、ということで短編集で気になっていた漫画。とになく画力がすごい!!!興奮が冷めやらない。こういう塗り方ができたらいいなぁと。

◆USABOY!!!(2004)
正義の味方な一家、USABOYは家にやってきた怪しい奴をぶちのめすが実はパパ上だった…という短い漫画。

ハナタレ少年とか好きなんでしょうか。絵がきれい。
ちょっと見た覚えがあるかもしれない。オチがひどいw

◆ひめごろも取説漫画(2004)
季刊Sの1p漫画。見た覚えがあると思う。

◆人生街道はぐれ星(2004)
恐喝傷害を繰り返す若い父三宅と娘ひかるの話。ある日もしかしたら殺人やったかも…と逃げようとするが、ひかるの体調不良により入院させ、逃げるのをやめ焼き鳥屋として再スタート。

田辺イエロウ初期短編集っぽい所がある。冒頭で殴られるおっさんの傷がリアル。加藤先生の描く傷や痛みの描写はかなり生々しいなぁ。

◆ニライ(2004)
ボートが壊れおぼれ死にかける少年を白い不思議な存在が救い、自分の肉を口移しで与える。

表紙だと青の祓魔師のカルラっぽい顔。作者いわくシロイルカ(好きな生き物)な人魚らしい。
なるたるに出てきそう。この回の絵が好み。

◆主と某(2004)
魚の代わりに茶碗、おかみがもさい男、な「漁師とおかみ」な話。

◆乙女の祈り(2004)
吹雪の国からナウシカの世界へ、そしてトンネルの向こうは~の要素がある漫画。

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◆ホシオタ(2008)
天文オタを隠し高校生活を送ろう藤子ヨシオは手塚さんにメロメロ。天文オタを隠すあまり、ひどいことを言ってしまうが、宇宙人が宇宙評議会の命令により地球人類を滅亡させることが決まった、藤子はただ一人生かしておくサンプル体だとか言う。流星群が直撃していくが、愛が地球を救う。

この頃から作風がガラッと変わって漫画っぽい漫画に。主人公が藤子、ヒロインが手塚ってあの大先生を意識しての命名だろうか?
話が「征地球論」「どことなくなんとなく」とか、藤子漫画っぽい印象を受けた。「…そう 僕はずっと逃げてた」と、自分が星オタなのは別に逃避でなくただ好きだからでそっちが本当の僕、それを認める勇気がなくて傷つけてしまったと主人公が泣くシーンがいいな。テーマを明確に、を意識しはじめた漫画だとは思うけど、告白(?)と「何故生まれたか、の謎を解いて約束により彗星直撃はナシに」を結び付けるのはちょい強引だったかも。

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◆深山鶯邸事件(2008)
悪魔に魅入られた深山鶯最中を、彼女に恩がある小さな悪魔・夜が10年の時を経て祓魔師として悪魔を祓い、恩返しするラブストーリー。

前ぱらっと読んだことがあった話。
一番好評だった読み切りだったらしい。
やっぱり絵的にも「見やすく読みやすい」、話的にも「わかりやすく感情移入できる」という点ではこの話が一番面白くて読み応えがあるかも。青祓の連載としての設定がある程度が決まっていた上であえて設定を変えて読み切りという点ではONE PIECEのプロトタイプ・2つのロマンスドーンに通じるかも。シャンクスと麦わら帽子のエピソードはかたまってたけどWJに載せることからWJで連載1話のインパクトを出すため、シャンクスの代わりにじーちゃんとか設定を変えた版も作ってました。


夜が燐、深山鶯最中がしえみポジションなのだが最中は笑顔も少ない。でもぱっつんショートヘアかわいい。
若く力もないゆえに上の悪魔パズスに翼をもがれ、犬の糞を喰い、悪魔から小便をかけられもした夜の過去。表現が生々しくてウワァァとなる。
そんな名前がなかった悪魔にとって、最中との出会いは一筋の光だったのだろうと。
しかしパズスに目を付けられ両親を奪われ、体が弱り、憑依先の織部により商業的な華道の家元にされ縛られる最中。16歳の誕生日にはパズスの餌となる運命。
パズスに抗議するも返り討ちにされる夜、「悪魔(おれたち)はみにくい…! 生きてるかちねーよ!!」という声が悲痛。
悪魔が唯一恐れる存在・祓魔師に頼り悪魔を殺す方法を教えてくれと懇願する。止めを刺そうと祓魔師が話す中、夜の声をきいてやった男が気になる。夜のボディの人そのまんまっぽいので体を貸してくれた人の模様。青祓の連載ありきで考えると、ひょっとしたら祓魔師として長い時を生きることになった燐の可能性も…だけど実際どうなのだろう。「悪魔の心臓を退魔の剣に封じ悪魔でありながら人の姿を借りて人の味方をする同族殺しがいる」はまんま連載版青祓の燐。読み切りなのでパラレルでしょうが。

水にトラウマがある最中は、自分を助けようとしておぼれ死んだ両親が最中を責めさいなむ幻覚幻聴に、夜が聖水化させた池に入ることができない。
そんな最中に夜が言った「お前の両親はそんなじゃねえだろ!! 自分が大事なもんを汚すなッ!」は名言だと思う。
派手で豪華なだけの華を生けたくない、人のためにささやかな花を生けたい、もっと色んなことをやりたいという最中の本心。

最後、子どもたちに野草を自由に生けさせる最中の笑顔がまぶしくて夜の穏やかな笑顔が素敵な話。

【2011/10/6追記】
そういえば夜は祓魔師に会い、10年かけて自分が最中を救いに出かけるのですが、祓魔師にパズスの情報を流して彼らに退治してもらえばさっさと済む話でした。そうすれば最中は髪が白くなるほど弱ることも10年も悪魔に縛られることもなかっただろうなぁ。ってのは野暮でしょうが。


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それにしても名字が加本・佐堂と藤づくしだと思っていたら、読み切りでも堂朱里に子と、やっぱり藤づくしでした。
そいや弐村と双村、ちょっと違うけどロボとうさ吉にもでてきた、連合軍赤の七の兄弟ニムラも名前かぶってます。使いまわしなのか無意識なのかわからない。

読みごたえがある短編集でした。

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